(2009年4月12日・13日 トイレ付きの部屋は500円増しで@9,400円、連泊2日目は8,500円 税別)
飛行機で鹿児島空港に着き、昨日泊まった宿はとてもいい宿だった。
土曜日でも快く1人泊OKしてくれて、値段も安くかけ流しの展望風呂まで付いている。
小さなベッドルームもあり、
お料理良し、貸し切りの川に面した露天風呂も気に入ったわ~
これはぜひまた来なくちゃね~! と思った翌朝……
なんか体中痒いの……
痒いよ~ 痒い! 体中に赤く膨れた20~30カ所の刺し跡……
宿に言って体を見せたら、とても素直な反応で
「どうしたんだろう? 何に刺されたのかしら?
ベッドの上のお布団も干しているし… 昨日も客が泊まったんですけどね、あの部屋に」
と言って消毒薬とかゆみ止めを持ってきてくれた。
まあ、しゃーない。何に刺されたのかしらね? と思いつつチェックアウト。
しかし!しかし!
かゆみ止め付けても治らないわ!大変よ~!!
そのうち、えっらい状態に~~~
あ”ーーー!! かゆーーー!! かゆーーー!! かゆーーー!!
かゆーーーいよーーー!!
かいかいかいかい!かいかい!!
という状態で着いた「おりはし旅館」。
鹿児島空港からバスで30分という地の利の良さ。
本館受付棟。
1人泊、湯治客は別棟の山水荘へ。
山水荘入り口。
フロント。
スッキリとした木の廊下。
トイレ付きの部屋は2部屋あり、トイレなしの部屋の500円増し、という破格の宿泊料金。
6畳。廊下付き。
湯小屋の前で眺めはイマイチだが、シンプルで落ち着く。
湯治料金だがアメニティ、タオル、浴衣など揃っている。
洗面・トイレ。
湯治棟に隣接して湯小屋があり、名湯「きず湯」もここにある。
清潔で広々とした脱衣所。クーラーが効いていた。
ここには違う源泉の2カ所の風呂があり、こちらは「竹の湯」。
そしてこちらが目当ての35℃の「きず湯」。
まだだれもおらず貸し切り状態。
夜の8時半にはお湯を抜かれお掃除される。翌朝は8時半から入れる。
ここの湯小屋は本館宿泊客も利用する。
透明なお湯の、湯船の端にほんの少しの茶色の湯の花が舞う。
湯口。
「きず湯」に入ってしばらくすると、
かゆいよ~かゆい!かゆいよ~ … の状態が、だんだんと治まってくる。
そしてふと気がつけばさっきまでは見当たらなかった湯の花が、
湯船中に、まるで小さなクラゲのように、後から後から押し寄せてくるのだった。
「竹の湯」も「きず湯」も、湯量豊富で
溢れたお湯は音を立てて流れていく。
排水溝には、このあと、まるで崩れたお豆腐のようにフワフワの湯の花がかたまっていた。
高い天井。換気扇はない。
「竹の湯」湯口。
このお湯は高温で、冷鉱泉の蛇口があり、熱かったらその鉱泉でうめる。
こちらのお湯には一晩中入れる。
ここに入ると痒みがどどっと増すので、あわてて「きず湯」に入ってじっとしている、という事態にあいなった。
すごくいいお湯なのである。
痒くなければもっと頻繁に入れたのに。
こちらは細かい茶色の湯の花がたくさん舞う。
本館脇を抜けて露天に。
お掃除が終わって、お湯が満ちてきている。
「竹の湯」と色が似ているが、ここも泉質が違うのだそうである。
食堂で夕食。
私1人だった。
湯治食らしい献立。
量も控え目。あとで焼いた鰻を持ってきてくれた。
焼酎をいただいてみました。
柔らかなタケノコ。おいしい。敷地で採れたもののようです。
鯉こく。
昼間は日帰り入浴で賑わっていた露天に、夜行ってみた。
しかし、ただちにかいかいかい~!となってあわてて「きず湯」に向かう。
「きず湯」に1時間じっくり入っていると、痒みも、そして気分も落ち着いてくる。
とんだ湯治になってしまった…
朝食。
人によっては足りないかもね~
私にはちょうどよかった。
人がいても出ていくところだったり、私が上がるころに来たり、と
タイミングよく、入っているときはいつも1人だったの大変はありがたかった。
痒痒痒でテンパッた私の状態は、「きず湯」のお湯の意味と力をしみじみと分からせてくれた。
今日のお湯は湯の花が全然なくて、驚く。
昨日の湯の花が押し寄せて体に触れる感じは、何だったのだろうかと思うくらい
お湯の感じが違うのである。
ザアザアとかけ流される音を聞きながら、温泉というのはなんと不思議なものであろうか、と
思った。
極度の痒みは、人格を変容させる……
怒りに似た感情が充満するのを抑えることができない。
アトピーの患者さんたちの苦しみが幾分分かったような気がした。
昨日から痒さのあまり時々狂気に近いような感じさえ抱いた私にとって
ぬるく、暗く、深い透明感に満ちて癒してくれるこの「きず湯」は
シベリウスの「トウネラの白鳥」の、
白鳥が静かに浮かぶ、この世とあの世の間を流れる川のようであった。
夕食。
メニューを変えてくれた。
きびなごのお刺身。
小さな美しいきびなごをお刺身で食べられるのは、贅沢なものである。
ポークの冷しゃぶ。
ヤマメのホイル焼き。
2時間は入りたいので、食休みもそこそこに、「きず湯」へ。
驚いたことに、今度入ったこのお湯は、
湯船の中でじっとしていると体を小さな泡がコロコロとかけ上っていくのである。
気がつけばたくさんの気泡が体を覆い、体を動かしたはずみにいっせいに湯面に上ってパシパシとはじける。
泡のこそばゆさに思わず体を動かすともっとたくさんの泡が上り、ひそやかな破裂音が湯面に躍った。
温泉というのは、2度と同じお湯には入れないものなのだと思った。
帰る日の朝、「きず湯」から上がって、思わずお湯に頭を下げた。
ありがとうございました。
九州旅行から帰ってからも痒みは延々としつこく続き、その刺し跡も黒ずんでいっこうに消える気配がない。
その後北海道のCご夫妻とご一緒に旅行した折にMr.Cが
「刺し跡が2カ所あったら南京虫」とおっしゃり、
Mrs.Cにお尻の刺し跡を見てもらったら……
「まあ! 刺し跡が2カ所あるわ!」 ということで…
南京虫の被害に遭ったのであーる!!
その話をミセス温泉にしたら
「昨日の新聞に、関西以西で南京虫の被害が続出している、という記事が出てたわよ」
あ”~~~!!!
でもってネットで南京虫について調べてみたら……
戦後DDTなどの強力な殺虫剤で駆逐されたかにみえた南京虫、別名床ジラミは、最近再び東南アジアから荷物などに着いて入ってきて、温暖化現象が増殖の促進をしているらしい。
私が行った4月半ば、鹿児島は夏の日差しのような暑い日であった。
毒性の強い殺虫剤が使われなくなったのと、半年くらいは血を吸わなくても生きている生命力、殺虫剤の直接噴霧が難しいなど、なんだか不吉な事態であることがわかった。
旅館によっては<開かずの間>にするしかないような状況もあるらしく、そして旅館に対して損害賠償請求の裁判を起こす、などということもあったようだ(職業によっては、痒みは致命的な障害になるものもある)。
う~む……
おまけに刺されると、尋常でないしつこい痒み、私の場合はその後あらゆる痒み、蚊に刺されても汗で痒くなっても、過剰に腫れてとんでもない状態になるということが起こっていて、
4月に刺されたところが9月現在でもまだ痒いのである……
九州は行きたい温泉がたくさんあるというのにぃ……
たくさんリストアップしていたのにぃ……
最近は<九州>という字を見たり聞いたりすると、ゾワゾワと鳥肌立ってしまってぇ……
この刺し傷が癒えた頃には、再び行くことができるだろうかぁ……
シクシク……
powered by Quick Homepage Maker 4.15
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM