(2010年3月7日 2人泊 冬季割引料金@5,800円)
さて、釧路3泊目の宿は、屈斜路湖から南に下った標茶(しべちゃ)にあります。
1・2泊目のさんこう温泉でお知り合いになった網走在住のご夫婦が車で送ってくださることになりました。
しかし、ご夫婦の帰る網走とは逆方向…
「私たちもオーロラファーム、興味あるので」と奥様がおっしゃるけど、ご迷惑じゃないかしらね…
で、思わずさんこう温泉のご主人に「方向が逆ですけど、お言葉に甘えちゃっていいんでしょうかしら」とお尋ねしたら
「ああいう方たちですから、ぜんぜん気にしなくて大丈夫ですよ、うちに泊まった人もよく送ってもらってるし~」
とのことで、北海道的ご親切に甘えちゃいます!
車に乗って、あら?南下じゃなくて北上してない?などと思っていたら屈斜路湖に沿って池の湯を見学。
(あれ、観光してくれてるのかな?)
「摩周湖に行ったことあります?」
新妻と2人で「え!? 摩周湖? 行ったことありませ~ん」
「ちょっと見ていきますか?」
嬉しい~~~!! 摩周湖!摩周湖!
霧の摩周湖!布施明!
摩周湖は屈斜路湖のすぐそばにあるが、冬場はそれこそタクシーを頼んで見に行くのならばともかく、
車でない私たちにはまったく縁がないところだったので、小躍りしちゃたのです!
土産物屋の建物を抜けて階段をちょっと上がって展望台に。
霧はもちろん全然なくて、くっきりと湖全体が見渡せる。
湖面を吹き上がってくる風が冷たい。
見下ろすと、深い群青の色合いをたたえ、静けさに満ちた湖が広がっていた。
「摩周湖、見られてよかったね~」「ありがとうございま~す」と車に戻って、いざオーロラファームに。
途中、雪原をキタキツネがトコトコ歩くさまを目撃したり、雪が溶けてきた牧場に馬の姿も。
「あら!きれいな馬!」と奥様の指さす方向に、まるで牛のホルスタインのような不思議な柄の馬が。
その後もたびたびこの柄の馬が目撃されて、そのうち乗ってみたいかも~!
ああ、そうか。
標茶町… 馬の産地… 皇室の御用牧場や… 時の権力によってここには軍馬が育てられていたのである。
さっき通ってきた川湯は、かつての安田財閥によって硫黄の採掘で栄え、鉄道が通され、そして資源の枯渇によって寂れていったのである。
<北海道>という膨大な量のジグソーパズルの小さな1片を、また1つプチッとはめ込んだような気がした。
<ファーム>というので何となく低地のなだらかな丘、みたいなものを想像していたのだが、
看板の先の道は急斜面の山に向かっていて、おまけにおっそろしいダート。
雪がとけてドロドロになった道をご主人は泥水を跳ね上げながらぐわわわっとすごい勢いで上っていき、フロントグラス全面がべチャッと茶色になってもぜんぜん気にせず、車から降りたときには何色の車か分からないような状態で…
あちゃっ…! こ、これは洗車代お支払いしたほうがいいかしら…
などと思っていると奥様が
「ちょっとお部屋見ていいかしら?」
「あ、どうぞどうぞ」
管理棟で管理人さんに鍵を渡してもらい部屋に案内される。
へえ~ こんな小屋なんだ~ と思う間もなく
「じゃあ、私たちこれで」
「あ!ありがとうございました~!」と
だんだらに茶色くなった車で去って行かれた。お礼もそこそこになってしまい… まあ、それはまたお会いした日に。
2人でも広々のお部屋、もちろん簡素な造りだけど、きちんとお掃除されていて、ソファもあり、快適。
お布団はたっぷり、シーツと枕カバーは新しく、新妻、敷き布団3枚敷いてちょーお姫様寝床製作。
掛け布団はダウンではないがフェザーの軽めのもので、三香温泉の重い掛け布団2泊でややぐったりしてしまった私たちには嬉しい。
強力ストーブであったか。ちゃんと映るテレビあり。
こういうところで1人泊可、ってのが北海道よね~。
上下水道管が凍っているため、水はタンクから出し、排水は下のバケツに落ちる。
そのバケツの排水は簡易トイレのタンクに入れて再利用。
水の使い方を再認識。ここのお水はとてもおいしい。
敷布団3枚のお姫様寝床でお昼寝している新妻ちゃんはそのままにして、私はモール泉、モール泉よ~!
小屋から200mほど歩く。
少し雪が降ってきて、ほーら、いいじゃな~い?!
ここが混浴の露天風呂。
男女別の入り口。日帰りの人は管理棟でお金を払ってから、車でここに乗りつけてるみたい。
そのさきにある男女別のお風呂棟。
女湯の脱衣所。床暖房!トイレがあり、とても綺麗で、赤ちゃんの着替え用ベッドまで置いてある。
内湯。
え? かなりの紅茶色! モール泉とはいえ、もっと薄いのかと思っていたので意外な驚き!
ちょっと期待しちゃう。
もう日帰りの人も帰っちゃったし、宿泊は今日は私たちだけなのだ。
ということは、混浴風呂独占!
おお~~~! いいじゃ~~~ん!
まあっ! これ、期待以上よ~!
つるつる感といい、かすかな香りといい、いうことありません。
宿泊料金の安さといい、お湯の質といい、見っけもん!のモール泉ですね~。
私はこんなとこでタバコは喫わないけどさ… あちこちに灰皿、というか灰缶があって、いまどき珍しい喫煙天国よ、ここ。
トロリ~ン トロトロリ~ン で1時間くらい。お湯ぬるめで私にはちょうどいい。
雪がひらひら体に当たって気持ちいい!
暗くなってくると、自動的に電気がついた。
ああ、もうそんな時間なんだ、と。
晩ご飯食べなきゃね。名残り惜しいけど、あがる。
道に出ると、道しるべのようにLEDがともって暮れていく雪の中で青く輝いていた。
夕食は炉端焼きであるが、2人なので端のほうに炭火を置いて網を載せてくれる。
丸々としたサンマ、殻付きの大きなホタテ、ほっき貝、野菜の煮物、行者ニンニクの酢味噌和え。
ラム肉と鶏肉。アスパラ、玉ねぎ、ナス。
新妻ちゃんとビールで乾杯!
オーナーの年配の女性がご挨拶にみえた。
垢ぬけた美人である。
聞けば横浜にお住まいで、北海道と横浜とを半々で過ごしていらっしゃるという。
そのオーナーのご親戚の女性も本日一緒にやってきて、炭火焼き以外のお食事をしていた。
「寒いから、おでん」って、
つみれの入った薄味のおでん。
気取っていなくておいしい。
これ、何だったっけ?ひじきそば?
小麦粉にひじきを練りこんであって、弾力がある。初めて食べました。
なかなかおいしいです。
炭火で焼くと、みんなおいしい。
ご飯までとても行きつかず、満腹となる。
「お握りにしてあげようか?」と管理人さんの奥さんが。
「お願いしま~す!」
食後、新妻ちゃんとお風呂に。
シーンとした道を長靴を履いて歩いて行く。
「怖いですね~ 怖くないですか~ 怖~い」 と新妻。
「?? だれもいないもん、怖くないでしょ?」
「怖いですよ~~~」
男性がいないので、2人で男湯満喫。
帰りに、あまりの静けさに時々立ち止まりながら、空を見上げる。
管理人さんがネットのオークションで落札したというLEDの明かりが瞬き、風がまったくない澄んだ空気の闇の中で、無音の気配に耳をそばだてる。
ひっそりと歩きながら 「まだ怖い?」と新妻に尋ねたら
「怖くない!」
小屋のドアまで歩いてきて中に入るのに忍びず、しばしたたずむ。
LEDが静かに光っていた。
新妻、
「私、またあの道歩きたい。夜中にまたあの道通ってお風呂いってきます!」
(おお~ さっきとえらい違いだ~!)
しかし新妻ちゃんよく寝てしまい、夜中の道は歩けなかったのであった。
いいお天気。
正面の建物が管理棟・食事処。
昨日降った雪がふんわり積もって、朝日に輝いている。
新妻ちゃんは混浴風呂を目指し、私は女湯を目指す。
雪の結晶がキラキラしてる。
女湯の内湯は朝日を浴びて、湯気の向こうのお湯は淡い紅茶色。
やや熱めの、とても気持ちのよい風呂だった。
ドアを開けて露天に。
素晴らしい雪景色。
でもあれあれと思う間もなく、溶けだしている。
油断してると、バリバリッと音がしてこんなものがお風呂に落ちてくる。
チェックアウトは12時なので、朝食もゆっくりと9時に。
みみのり、というものだそうです。
昆布とワカメの中間のような歯触り。プリプリ、シャキシャキとおいしい。
春先までのもので、今が旬。冷たい海の岩に張り付いているらしい。根が固いので、1個1個切り落とすんだそうだ。
自家製のイクラの醤油漬け。お米の味も素晴らしい!おまけに飛びきりおいしい水を使っているのでとんでもなくおいしいご飯なのだ!
朝からゴージャス! 身の厚い鮭も、ワラビも嬉しい朝のお食事だった。
飼い犬の茶々丸くん。
隣に腰掛けたら…
のしかかられてしまった…
新妻ちゃん、裏口にある橇を見つけて、
「やりたい!」ってんで丘の上に登って行きました。
えっさえっさ登って行って滑り出したが…
下で見ている者にとっては滑っているように見えない。
「あ、全然滑ってないな」
「手で漕いでるね」
「あー 止まったみたいね」ってな感じ。
それでも途中から、滑った跡の固くなったところに橇が乗って滑り出した!
おお~ 滑ってる!滑ってる!
「面白かったー!」と言ってまた滑ってましたね。
「帰る前にもう1度滑る!」って言ってたんですけど、化粧に手間取って時間切れに。
「あー … もっと滑りたい…」
「また雪の季節に来て、滑んなさい」
管理人さん
「大きなタイヤだともっと滑るよ。汚れてもいいカバーオール貸してあげる」
また来なくっちゃね!
電車の時間に合わせて12時に車に乗り込み、管理人さんに標茶駅に送ってもらい、釧路駅に向かう。
湿原は鹿だらけ!
釧路「和商市場」でお買物の後、市場内の蕎麦屋で牡蠣蕎麦。
蕎麦とつゆはどうってことないけど、牡蠣、おいしい、もっとたくさん載ってればいいのに!
新妻「牡蠣、6個しか載ってませんでしたよねぇ」
「えっ!? もうちょっと載ってたような気が…」
「6個ですよぉ」
帰りにウインドーのサンプルを見ると10個くらい載ってる。
写真見ると… 8個であった。
楽しくておいしくて、そして感動的な、冬の北海道の旅だったのです。
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