theoria(テオーリア) まるみの 湯気の向こうに 見えるものを心の眼差しで観想する 小さな旅へのいざない

ラブホの四季・蒸し暑い夏篇

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  • 蒸し暑い夏篇




片隅の涼

ラブホな人々


暑いわ暑いわ暑いわ~ 暑いわ~……

こんな看板見るともっと暑いわ~~

以前建っていた木賃宿をラブホに建て直したときに3流デザイナーがこれも作ったのよ。
ペカペカの薄いパネルなのでちょっと風が吹くと全部倒れてしまうのだ。
作り直すかと思いきや、風のないときに使ってるの、こうやって。

一生懸命読ませて、これで安上がりに釣ろうっていうわけね。




ラブホな人々


暑いわ~  

下向いて歩いてると、小さな自然を見つけて、あら?

ちょっとほっとする。



ラブホな人々






ラブホの片隅で、誰にも見られることなく、
この木は生きてきたようだ。



そしてたくさんの……

ラブホな人々を見てきたのね。




謎の解決

ラブホな人々

謎その(2)、解決しました!!

ラブホな人々

「角海老」ってこの手のピンクの経営のほかに、大塚でボクシングジムも経営してるのですが、その関係のポスターを、貼ってあったんですね~

余談ですが、江戸時代からの吉原の大店「角海老」は、かつて東京市議会議員かなんかに立候補するために、吉原からじゃまずかろうってんで浅草のはずれのほうに旅館を建ててそこから立候補したらしい。


もっと余談ですが最近このソープの経営者が逮捕されたみたい。
「何の容疑で?」


いまちょっと想像したでしょ~~? それよ、多分。



ラブホな遊び

ラブホな人々

「夜は若く、彼もまた若かった…」

という、粋な出だしで始まるミステリーがあった。


蒸し暑いブクロの夜も若く、私のすぐ前を歩いている男も若かった。

「XXX に電話したら断られちゃってさ~ 
リーさんなら遊んでくれるんじゃないかと思って」

携帯で電話しながら。


ラブホな人々

「え~? だめ? あ~ そう…」
ブツブツ言いながら携帯を切った。


またかけてる!

「…でさ~ うん。リーさんに遊ぼうって言ったら断られちゃった。うん。遊ばない?
…え~? だめ? なんで? え~?」

(アホか~! おまえは!)

誰かに断られたからその代わりに遊んでくれ、なんて電話にのってくる女の子なんかいるもんか~
金もらっても!!

夜はまだ若く、おぬしも若いから、そうやって一晩中電話かけとれ!!





ラブホな騒音

ラブホな人々



あ、終わってるおねーさんが行くわ。

引っ張ってる本人はあまり感じないのかもしれないが、
このガラガラの音たるや、すごいのである。

閑散としたラブホ街を、まるで仇のように引っ張っていく。

私は思わずその後ろ姿に、見とれてしまう。






ブクロの異国

ラブホな人々


なにかあったらしい。

パトカーがきて警官があちこち忙しく歩き回って、無線がガーガーいっている。

歩道ではあっちでもこっちでも若者たちが立ち止まって、日本語以外が乱れ飛ぶ。

何が起こったのかしばらく見ていたのだが、日本人じゃない少女が2人、警官に誘導されて店から出てきた。

それを見ながら歩道ではまだかしましくみんな話しているのだが、

日本語が全然聞こえてこないので、私には何が起きたのか皆目わからなかった。






謎…(その6)


ラブホな人々




ラブホ街のちょっと裏に、不思議な看板が出ている。




rigut,ラブホな人々


「平和 資料館」なら分かる。

「トンボ 資料館」でも何となく分かるような感じである。

しかし、
「平和・トンボ 資料館」… って、何?

ラブホな人々

そのうち入ってみようと思っているのだが、

前を通ると、いつ見ても<開館日 未定>とあるので、

未だ謎である。






ラブホな人々


朝は時間のゆとりなんかない。

脇目もふらずせっせと駅まで歩く。このところ時間が早いので、ラブホ族はまだチェックアウトの時間ではなく、人通りもほとんどない。

信号が変わったらすっ飛んで渡る。

渡った。
また歩き出した道のきわに、動いている白っぽい塊があって驚いた。



瞬間なんだかわからなかったものは、道の端にうずくまって泣いている女の子であった。
様子からすればこの辺のお仕事レディーである。

バッグを傍らに置き携帯を握りしめ地面に座り込み、膝を抱えて人目もはばからずに激しく嗚咽していた。



朝の光は残酷で、露出した肌の汚れやくたびれた白いワンピースをくっきりと照らし出している。

思わず立ち止まった私はしかし遅刻することを恐れてまた歩き出したのだが、引き返そうかと思いながらもやはり歩を前に進めたのだった。






rigut,ラブホな人々

その日は一日中、彼女のことが気になった。


絶望のただ中にいるときに、日常の当たり前の気遣いや小さないたわりがどれほど慰めになるか知っている身には、
余計なお世話かもしれないがそのとき言葉をかけることによって彼女のなかで何かが変わったかもしれないと思うと、そうできなかった自分に腹が立った。

若い、ということと、女性である、ということで、一番手っ取り早く稼げる職業に就いているのである。

彼女はもっと幸せな星のもとに生まれていたら、両親が大学に行かせてやり丸の内のオフィスに勤めピンクのレースのカーテンが揺れている部屋のベッドでマニキュアをしてお母さん作ってくれる夕食を食べ休日はお父さんとゴルフに行ったりしていたかもしれないのである。


どちらの側に立つか問われれば


男とホテルに入って金を稼ぎ、携帯を握りしめて泣きじゃくる彼女たちの傍らで、生きていきたいと思う。








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