十勝岳温泉 凌雲閣

(2008年12月7日 1人泊 @11,500円)



凌雲閣






                             
       都内のイチョウもやっと色づいてきた。

       快晴のお天気。新宿から羽田行のリムジンバス。


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          富士山もバッチリ!


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                            北海道の大地は真っ白。





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           旭川空港から上富良野へはバスで。

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         ここから町営のバスに乗り換えて
         十勝岳まで。


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バスは私を含めて乗客2人。

曇が突然去っていき、
雪原に強烈な日差しが照りつける。

真っ直ぐに立ち並んだ木々の間から
青空が透けて見える。


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              バスは、凍って透明にきらめく木が華麗な彫刻のように続く林の中を通る。
                          ため息が出るほど美しかった。

                       富良野の平野が広がっているのが見える。
                             ここまで上ってきたのか…

                          
                           こんな眺めは北海道ならでは…

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                              30分ほどで宿に到着。





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                          2階、10畳、洗面台付きのお部屋。


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アルミサッシとガラス戸の2重の窓。

もちろん外は-5℃くらいだが、乾いていてあまり寒さを感じない。

窓を開けても全然平気よ~  外の空気はすごく気持ちがいい。


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                        曇ってきたので、十勝岳は見えない。





    凌雲閣     凌雲閣

           部屋のテレビ・冷蔵庫。部屋の外のトイレは大きくて明るく、きれいにお掃除されている。



 

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                     富良野のほうはきっと晴れているのだろう。

                   重く垂れた雲の下のほう、かなたに街並みが見える。





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                            内湯はモウモウと湯気が。



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                        露天。内湯のドアを開けてすぐなのだが、
                         
                         露天に行く瞬間はかなり寒~~~い。

                      晴れていれば、きっと山並みが美しいのだろう。

            
           登山帰りの日帰り入浴の客が多くて、団体でどかどか入ってきて占領されていたが
                         一団が去ってしまうと、静かになった。

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           顔はピリッと冷たいが体はもちろん温かく、ぬるめのお湯にいくらでも入っていられる。

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        はあ~~~  このひんやり感。
        この茶色のお湯の温かさ。


        そして…
        静けさ。


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           熱くて濃いお湯はどんどん投入されるが、気温が低いので直ちにちょうどよくなる。


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            ふっかふかの雪の中に、思わず飛び込んじゃおうか~ などとチラッと思ったり。

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              きっと転落だよね…  地方新聞のヒマネタトップになること間違いなし。


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                 突然雲が去って、十勝岳を含めた山々がすべて姿を現した。
                 目が痛くなるほどの白さの中で、稜線が瞬間くっきりと見え、
                 そしてまた雲の中に隠れてしまった。

              カメラのことを思い出さないくらい短い時間の、あっという間の出来事だった。





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            夕食は食事処で。

            私のほかには、湯治客らしい3人のおばあちゃんと1人のおじいちゃんのグループ。

            おじいちゃんはすでにしこたま聞し召して…  座布団にのびていた。

            そばで奥さんらしきおばあちゃんは激しく檄をとばし、
            友人らしき2人のおばあちゃんが「まあまあ」となだめに入る。

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                        私の席は十勝岳大噴火の絵の下である。

                                
                              「ドッカーン!!」



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                          お刺し身も新鮮、鴨もおいしかった。


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                             茶碗蒸しもアツアツ~。

                   風呂のことしか頭になく、食事のことは考えもしなかったのだ。

                だから見た目はジミだったけど、食べてみて「良かった~!」と思った。

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                 小ぶりのロールキャベツ。キャベツがとろっと柔らかく煮込まれ、
                            そしてちょうどいいサイズ。


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チーズとポテトとブロッコリーのグラタン。


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                       ポクポクッとしたおじゃが。う~ん、北海道。

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海鮮鍋はいいおだしで量もたっぷりあり、キンキまで入っていた。


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                          つまり豪華、贅沢ではないけれど、
          本州からやってきた人間が北海道で食べたらおいしいのでは?と期待しているものを
                           ちゃんと出してくれたのである。

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                 手づくり? ミルク感たっぷりの、甘さもちょうどいいババロワ。

          私にとっては、なんかとても満ち足りたお食事で、味付けもちょうどよく、すごく嬉しかった。





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                          夜、コートを着こんで表に出てみた。

                遠く、富良野の街の明かりが、澄んだ空気の中でキラキラしていた。



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宿の老犬、ゴンタくん。とても毛づやがよく、まだ若い犬なのかと思って聞いたら
女将さんは(北海道はご主人が社長のところが多いみたいだから、社長夫人?)
「よくそう言われるんですけどね、見かけによらずもう年寄りなの」

子犬のときからここで、温泉で洗ってもらいながら可愛がられて育ったらしい。

「ちょっと前に社長が入院したんだけど、入院1週間目に、ゴンタは社長を探しに出て行っちゃってね」

「ええーっ?! どこに行ったんですか?」

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「昔社長が連れて行った裏大雪のほうまで、1週間以上かけて社長を探しに行ったみたい。
時々会う登山の人に食べるものを貰ったりしながら行ったんでしょうね」

その後ゴンタは無事発見されて宿に戻ったそうであるが、
社長が退院したときは…  大喜びしたそうである。

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                  そのとき社長とゴンタは、ひしと抱き合ったんだろう、きっと。

                               
                              あぁ… 忠犬ゴンタ…



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ゴンタのスベスベした温かい肉厚の耳を撫でながら、
私はちょっとウルウルしたのであった。


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                          朝食は1階のレストラン「岳」で。

                              バイキング形式。

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昨日沈没していたおじいちゃんも、今朝はしっかりした足取りでやってきた。

昨夜お風呂でおばあちゃんたちとお話ししたのだが、北海道の人で冬に4~5日湯治に来るんだそうな。

「足が痛いので毎年来るんだよ、じいさんは足は痛くないけど酒飲みたいからさ」とのこと。

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             露天に入っているとき、髪の毛の濡れたところが凍ってパリパリになった。
                           
                          初めての新鮮な経験っだった。

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             岩の上に置いたタオルが、持ち上げたら凍っていて岩の形になっていた。

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                              楽しい思い出である。





凌雲閣

朝、社長夫人が2重になったドアとガラス戸を開けてゴンタに「おしっこ?」と聞くと、
ゴンタはトコトコと雪の中に出ていく。

そして雪をかいてトイレタイム。
(プライバシー尊重のため、写真には一部目隠ししてありま~す)

終わるとまたトコトコ駆けてきて、ドアを開けてもらって入ってくる。

ふ~ん… 1日2回?


それを見ながら私は考えた。
雪がある12月から4月まで、ゴンタがこうやって毎日落としたものは…

雪が溶けたら… いったいどうなるんだ?





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本日は上富良野のフロンティア・フラヌイ温泉で、旭川のCご夫妻と待ち合わせである。


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          朝一番で日帰り入浴する老人たちを乗せてやってきたバスに乗り込む。

          だんだん日が出てきて、青空が広がってくる。

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ゴンタ… 
もう充分に忠犬だったんだからさ…

1回気ままに、ご主人を忘れてやってごらん?! 
ゴンタがやりたいことを!


本能の網をかいくぐり、
逃走の線を描け~ 
あの雪原に。猫のように~


凌雲閣





しかしそれじゃあ、犬じゃないっていわれるかもね。
だけどゴンタ、1回やってごらん?!

きっと新しい関係と、
新しい世界がひらけるよ~






凌雲閣


                       下っていくバスの中で日の光を浴びながら、

                            私はそんなことを思った。








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