奥那須 大丸温泉旅館 

(2011年2月11・12日 2人泊 @1泊目 15,000円 2泊目・休日前料金 17,000円)





奥那須 大丸温泉旅館



「2月にまた温泉に行きたい」というまちこのリクエストにお応えするために、
はやばやと那須の大丸(おおまる)温泉旅館に電話して部屋を押さえた私は、
その後北海道の然別湖畔の宿で、朝6時に起きて凍った湖を眺めながら、
えきネットで1カ月前に発売される新幹線の30%引きの切符の予約をしたのであった。


奥那須 大丸温泉旅館


1人で行くときは多少高くても「えいっ! これでいっか」となるけれど、
誰かを連れていくときは、やはり少しでも安く取ってあげたいと思う。
で、売り切れる前に6時起き、よ。


奥那須 大丸温泉旅館





2人で大宮から新幹線に乗り1時間。
そして那須塩原から旅館組合の無料のバスで1時間ほど。


奥那須 大丸温泉旅館





那須湯本を過ぎると雪が降りだし、山々の白さが増していく。






奥那須 大丸温泉旅館

宿に到着したときには、もうワクワクするほど降ってきた。

奥那須 大丸温泉旅館

那須塩原駅からのバスは2本しかなくて、早い時間のバスが宿に到着するのは1時ごろ。
予約の時に「チェックインには早すぎますよね?」と聞くと

「お部屋ご準備いたしますよ」

電話を切ってからもちょっと嬉しくなってにっこりしてしまう。

奥那須 大丸温泉旅館

「パンフレットをお送りいたしましょうか?」と聞かれたので
「お願いします」
「2部、お入れしますか?」

奥那須 大丸温泉旅館

送られてきた封筒の中には宿のパンフレットのほかに
宿泊料金明細、バスの時刻のコピー、那須温泉郷の地図、クーポン付きの那須高原ガイドブックが入っていた。

奥那須 大丸温泉旅館

そっけないほど飾り気のない、簡素といったほうがいいようなすっきりとした玄関を入る。
広々としたラウンジの奥には、この宿の館主が乃木将軍の秘書だった縁で毎年湯治に訪れた将軍ご夫妻のゆかりの品などが控えめに飾られていた。

本日は連休の初日、満室のようで、フロントとラウンジはチェックインを待つ人々で混雑していたが、スタッフがテキパキと案内をしてあっという間にさばいていく。

私たちもあまり待たされることなく、もう1組の客と一緒に仲居さんに案内されてエレベーターで4階に。





奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


    奥那須 大丸温泉旅館   奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館




奥那須 大丸温泉旅館

窓にちょっと目隠しがあって、外の眺めが半分。

奥那須 大丸温泉旅館

のぞいてみて分かった。
真下に混浴の一番大きな露天があるのだ。

現在は男女ともタオル巻きで混浴の露天に入れるよう、女性は少し大きめの、男性は腰に巻くようにやや小さめのバスタオルが部屋にも風呂場にも置いてあるが、少し前までは男女別の時間で分けていたようで、女性の時間帯になったときにはやはりこの目隠しの配慮が必要だったと思える。

が、今はジャマ~  とはいえ、外は降りしきる雪で灰色にそまり、目隠しあってもなくても、であるからいいの。文句なし。

奥那須 大丸温泉旅館





そしてコタツに入ってしばらくしてから気が付いた。

薄手の布団が置いてあり、枕もあった。
これでコタツに足を突っ込み昼間でもごろっとできるわけ。






奥那須 大丸温泉旅館



いざ、風呂に~~~

宿泊者用の貸し切り風呂以外、日帰りでも内湯、露天ともに入れるらしい。
日帰り料金もとてもお安く設定されているので、けっこう日帰りで入っている。







奥那須 大丸温泉旅館

脱衣所の脇にロッカー設置。敷石は床暖房で温か。その向こうにパウダールームがある。

奥那須 大丸温泉旅館

備品も揃っていて、脱衣所から独立しているので使いやすい。
わけても日帰りの人にとってはありがたい構造になっている。




奥那須 大丸温泉旅館

内湯の入り口を開けると、豊かなお湯の落ちる湯船だった。
しっくりとしているが、ある華やかさを感じ、しばらくしてそれが湯船の造り、その色から感じられることに気付いた。
縁を巡らせた、まったいらスベスベの赤みを帯びた茶色の石、湯船の中と床には、薄緑の石。

色合いも彩りも加工も吟味された、その配色と配置。


奥那須 大丸温泉旅館

理知的で優れた美意識の感性が、さりげなく控えめに、この内湯の造りに漂っていた。

お湯の温度はちょうどよく、足を伸ばして、まちこも私も幸せのため息をついたのだった。


奥那須 大丸温泉旅館







いい宿で、とてもいい内湯だと思った。






奥那須 大丸温泉旅館

ドアを開けて階段を下り、混浴の露天に。



奥那須 大丸温泉旅館

みなさん備え付けのタオル巻き、私たちは持参の混浴用の湯浴み着。
この大きな露天の底はとても熱いお湯が出てくるところがあって、身をかがめた途端、きゃっ となったりするが、ちょうどいい温度のところを探して落ち着くと、山肌を白く覆う雪の模様に見とれてしまうのだ。

奥那須 大丸温泉旅館

大きい露天のすぐ上に小さめの露天があり、多分この時季のためお湯の温度はかなりぬるく、
つまり私向きの35~36℃くらい。

うわ~ こたえられませんわっ! 


奥那須 大丸温泉旅館

雪が降りしきり、そして顔に当たるその冷たさ。首までトップリと浸かるお湯は心地よく、
極楽、極楽~~~


奥那須 大丸温泉旅館

この上にもまだ露天はあるのだけれど、残念なことに春にならなければ入ることができない。

奥那須 大丸温泉旅館

この雪景色に内心「ばんざ~い」と喝采を叫び、
この階段のふんわりと積もった雪を踏んで登っていって、
できたらひっそりと雪に埋もれた小さな露天に入ってみたい誘惑にかられる。

奥那須 大丸温泉旅館

けっこう人が入っているが、あまり気にならないのはこの景色と清冽な空気のせいかもしれない。
おまけにまちこと2人で入っているこのぬるい露天は、人が来てもぬるすぎるようで、ありがたいことにみんなすぐに出ていってしまう。

奥那須 大丸温泉旅館

露天の底にも、まるで孔雀石のような鮮やかなグリーンの小石と茶色の小石が敷かれているのだった。





奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館






奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館







湯上がり、ほかほかの体で、薄着のままちょっとお外に。


奥那須 大丸温泉旅館







落ちてくる雪の粒が肌に当たる感触を楽しみながら、オレンジ色の温かな灯が、この宿の名前を照らすとき、なんだかとても懐かしい気持ちになるのだった。






奥那須 大丸温泉旅館

女湯の内湯から女湯の露天に。

奥那須 大丸温泉旅館

ここにも同じ石が使われていて、そしてちょうどいい大きさ、
静けさと落ち着きのある、ゆったりと心休まる露天だった。

奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館

しだいに暮れていくその速度に気付くとき、それは

物の形がくっきりと見える世界に一抹の名残り惜しさを感じつつも、ほの暗く謎めいた領域へといざなわれていく、その期待がよぎる瞬間でもある。







奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館







夕食は個室形式の食事処で。


奥那須 大丸温泉旅館





器も吟味され、たいへん手をかけたお料理で、すごく豊かな気分になる。


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館

最後のご飯に付けられた牡蠣の甘露煮の、山椒の香りもしみじみと。

大変満足できたお料理の数々だった。

もちろんおなかははち切れんばかり!

奥那須 大丸温泉旅館

デザートはフルーツと胡麻のおしるこ。そば粉餅入り。

これはお部屋に持っていくために、ラップをかけてくれた。

休息の後、もちろんいただきました! ちょー濃厚な胡麻の風味、おいしかったですよ~ん。







奥那須 大丸温泉旅館





まちこはパッタリ寝てしまったので…




奥那須 大丸温泉旅館

1人で貸切風呂へ。1人で入るのはもったいないくらいの大きさ。豊富なかけ流しのお湯の量。

奥那須 大丸温泉旅館

あ、ここにも同じ石が使われている。

奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館






窓を開けると、冷たい空気がドッと入ってきて気持ちいい。


奥那須 大丸温泉旅館



若い男女の楽しげな話し声が下の露天から聞こえてくる。

時間帯で男女別に分けたらこんなふうにおしゃべりはできない。
男女ともタオル巻きで混浴、というのは、タオルの量だけでも半端ではなく、宿の負担が大きいだろうけれど、客にとってみればいい思い出をたくさん持って帰れるのではないだろうか。

もちろん豊かな量の温泉があるという幸運で、成り立つことではあるけれど。






奥那須 大丸温泉旅館



奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館








奥那須 大丸温泉旅館

朝食も同じ食事処で。

奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館








奥那須 大丸温泉旅館

館内は連泊の客と、そしてけっこうやってくる日帰りの人が。


奥那須 大丸温泉旅館

けれどやがて去っていき、まちこと2人。

と、まちこが
「ねえ、これ見て!」

奥那須 大丸温泉旅館

「ほら! 雪の結晶!」

えーっ?! 雪の結晶って、北海道でしか見られないと思っていたけど!

奥那須 大丸温泉旅館

「ホントだ! だけどあなた、秋田でも結晶は見られない、北海道で初めて見たって言ったじゃない…」
「うん。見られなかった… っていうか、秋田でもあったのかもね…」

なんじゃー そりゃー! つまり秋田じゃ雪なんかありふれ過ぎてて全然見てなかったんじゃないのー?

「うん、そうかも」

奥那須 大丸温泉旅館

まあだいたいそんなもんですよ。

しかしこの結晶はすぐ溶けてしまうので、エッジがぼやけてあまりクッキリとはしていない。
やはり北海道で見る結晶の美しさは、はるかに感動を呼ぶものではあるけれど、ここで見られた結晶に大喜びして私たちは飽かずにいつまででも眺めてしまったのだ。


奥那須 大丸温泉旅館








奥那須 大丸温泉旅館

本日は連泊のための違う献立で、昨夜と違う個室に案内された。

奥那須 大丸温泉旅館

この雪深い景色だからこそ、ひと足早く春の喜びを味わってください。

そんな板長の思いが伝わってくる卓の上。

奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館







昨夜は豚だけど、本日は牛です!


奥那須 大丸温泉旅館







奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館

そしてフグです!

奥那須 大丸温泉旅館

シャキシャキした山芋、山菜、大根の味噌漬け、セロリ、シバ漬けなどバラエティーに富んだおいしい漬物。

奥那須 大丸温泉旅館

表は雪景色だけど、ほら、もうすぐ雛の月。

奥那須 大丸温泉旅館

そして雪が溶ければ、もうすぐ筍。

奥那須 大丸温泉旅館

本日もたいへん嬉しくおいしく戴きました。

そしてデザートは3品!







奥那須 大丸温泉旅館

ねえ…

奥那須 大丸温泉旅館

こんなふうに2人で温泉に来るなんて…

奥那須 大丸温泉旅館

思ってもみなかったね… と、まちこは言う。

奥那須 大丸温泉旅館

私は思う。

まちことだけでなく、縁あってのさまざまな出会いは…

奥那須 大丸温泉旅館

それぞれの出会いが、なんとありがたいことか。







奥那須 大丸温泉旅館

翌朝の朝食は…

奥那須 大丸温泉旅館

朝からカニですよ!

奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館


奥那須 大丸温泉旅館

チェックアウトの時に、フロントで
「お風呂場や露天に使われているあの緑色の石と茶色の石は、なんていう石ですか?」と尋ねたら
「ええっと… たしか十和田から運んできた石だったと思いますが…」

それ以上は知らないようであった。

そんなふうに、かなり手間とお金をかけているのである。
宿によっては風呂の前に看板でも立てて吹聴するであろうが。

従業員さえ「たしか…」と首をかしげる姿になっていることが、私にはたいへん好ましくうつった。








奥那須 大丸温泉旅館

「また来ようね!」
「うん、今度は上の露天に入ろうね!」





奥那須 大丸温泉旅館

食事も良く、感じも良く、風呂もよく、景色も… という宿は1泊2万円近く出すなら何軒か思い浮かぶが、
平日1万5,000円という料金で、こんな幸せな思いを堪能できる宿は、そう多くない。

おまけに東京から近い。

そして、雪の結晶まで見ちゃった!







奥那須 大丸温泉旅館




「また誘って!」と、

別れ際、まちこは手を振って去っていった。












トップに戻る

powered by Quick Homepage Maker 4.15
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM