(2011年5月22日 カヌー料金込みプラン 会員料金 2人泊 @10,650円)
パティスリー・ロクの敷地前からバスに乗り込む。気温はかなり低い。
バス、暖房中。
バスの後ろのほうに迷彩服を着た自衛隊員らしきお兄さんが1人。
瓜幕の自衛隊前で降りると、私たちのみとなる。
そしてだれも乗らず、小雨が降ったりやんだりの道を山のほうへ上がっていく。
遥かに広がる十勝平野を、あの雄大な景色をおつまちゃんに見せてあげられなくて残念。
共働学舎のあたりでは新緑が美しい白樺並木だったが、ここではまだ新芽も出ていない。
時間どおりに然別湖に到着。風水前で降りると目の前のホテルからお迎えが。
本日は前回私が泊まった部屋のちょっと手前の広めのお部屋。
部屋、暖房してあった。あわてて消す。
ガラス戸が大きく、湖もよく見える。
しかし霧雨にけぶる然別湖。
くちびる山、ぜんぜん見えず。
この日は観光船は1度も動かなかった。
冷蔵庫にお楽しみとお土産を詰め込む。
風呂は誰もおらず、貸し切り状態。当然<福原>の客もおらず。
露天のお湯はわりと高め。
前回のようにぬるい露天でまったり、というわけにもいかず、早めに切り上げる。
ので、モーター音も気にするほどではなかった。
夜、1人で心ゆくまで弛緩して入っていると気になることも、
さっさと出るとそれほどでもないものだと思った。
やっぱり完全なリラックス感を求める状態の時は、自分の忌み嫌うものは極力排除したくなるのだ。
ここはもうすでに知っている風呂だし、今回、明日のカヌーがメイン、風呂は明日行く宿に期待してるからなの。
なにも見えず、なんだか別世界のような風景。
見たこともないような不思議な景色だった。
動きのない、静かで冷たそうな水の様相。
タルコフスキーの映画に出てくるような、まっすぐ音もなく降る雨やたなびく霧、立ちのぼる冷気の中の水蒸気……
<湯気>から温度を、温かさを取り去ったものたち……
相変わらず、ドンと真ん中の邪魔な柱。
豊富に流れていく笹濁りのお湯。
ぬるくて盛大なジャバジャバ音のジャグジーに入ってみた。
やっぱだめだわ~ こりゃ。 ちょーうるさくて、かつ心地悪し。
今回、おつまちゃんには出発以前に、
「初日は多分ランチで満足するでしょう。
2日目はチーズと蕎麦とケーキで大満足するでしょう。かつ<風水>夕食は豪華じゃないけどいい感じで、
アイスクリームもうまいの。翌朝のカヌーは雨にはならないでしょう。
3日目の宿はお風呂がメイン。恐らく食事は大したことないから残すかもしれないけど。
当然4日目の朝食も多分どうってことないから、帰る前に帯広の六花亭本店でお茶してパフェ食べればいいね~」
いまのところ予定通り順調にいっている。
食堂にはもう1組、中年のカップルがいた。
本日の宿泊は4人であった。
前回と同じようなメニュー。
このあと焼き立ての養殖オショロコマを持ってきてくれる。
豚肉の陶板焼きのたれは黒コショウが利いていて、
豚肉も柔らか、目新しくはないけれど、そのほかのものも安心して食べられる。
豚の角煮、辛子付き。太いフキも柔らかで香りがよい。
揚げたての天ぷらには、今が旬のグリーンアスパラガスも入っていておいしかった。
ご飯もおいしい。
なんとなく全部食べ終えるとほっとする、薄味でいい感じのお食事なんです。
デザートのアイスクリームはお部屋で。
こんなに気温が低くなければ、売店に行って買ってきてもっと食べたかも。
夜の露天もけっこう熱かった。
明日、チェックアウトの後にカヌーだし、あんまりトロトロしてられないからちょうどよかった。
早めに切り上げる。
よく温まるお湯なので、汗だくとなる。
ジャーン!!
ケーキ、いっちゃうのだ! なにせ3個も買って持ち運んでいるので、2個は食べておかないと!
抹茶のムースを食べました。
濃いめのしっかりとした抹茶の味、上品、あっさりしていながら、ミルクのこくのあるムースで、ペロッといきました。
おつまちゃんはピンク色の桜のムース。桜の葉のい~い香りだそうです。
朝ご飯も前回とまったく同じですね。
春になったし、少し変化があるかと思ったんですが。
晴れてなくてもこの風景を見ながらの朝ご飯、ですからね。
景色もご馳走よ。
私は<卵><海苔><納豆><ふりかけ>は要らないので、これは下げてもらいました。
冷めているけどおいしいホッケです。
おつまちゃんも「北海道のホッケ、なんでこんなにおいしいんでしょうねぇ」
おいしいんですけど、全部半分残す。 ケーキが待っているからね~
雨は止んでいる。気温はやけに低い。
風が少々… カヌー大丈夫だろうか…
窓から湖を見ていたおつまちゃんが 「あっ カヌーやってる人がいますよ! 大丈夫ですよ~!」
部屋に戻ってパティスリー・ロクの2個目のケーキにトライ。
モンブランです!
作り手の人となり、ですね。 率直な、優しさに溢れた味わいでした。
いや~ 満足!
チェックアウトで支払いを済ませたのちに、荷物はホテルに置いておいて、
前のネイチャーセンターに行ってカヌーの準備。
なにせカヌーの代金も込みで1万円ちょっとという破格の宿泊代で、嬉しいことこのうえなし。
いつも思うが、ネイチャーガイドさんたち、カヌーもふくめて、
自然との対話をしながらのなりわいを持つ人たちは、みなさん穏やかでとても気持ちいい人たちだ。
今回のガイドさんともとても楽しくお話しできた。
ネイチャーセンターで服装の準備をしながら、ついでに<風水>と<福原>の情報も仕入れた。
いまは、旅館同士の相互のお風呂乗り入れはやってないんだって。
どおりで<福原>の客がいないと思った。
どう見たって<福原>の別館<風水>っていう状態だったもんね~
「タダのお風呂で湖見えます、行ってらっしゃい」
きっと<風水>側で「不公平感があるから、やめましょう」
それに対して<福原>側は「そんなことないですよ」とは言えなかったんでしょね、<風水>の客行かないから。
おつまちゃん、ネイチャーセンターで売っていたオシャレなグリーンの柄の手拭い2本購入。
ここで今回のガイドさんは、私たちが着たライフジャケットをご自分で点検してあちこち装着し直し、
救命胴着の正しい装着方法と、カヌーが<沈>したときまずどうすべきかを教えてくれた。
「みなさん、ライフジャケットを着ると安心しちゃうんですが、単に装着していても役に立たないことがあります。
もし水に落ちたら、一刻も早く私が助けられるような態勢にしてほしいんです。ライフジャケットの肩の部分を両手でしっかり掴んで、自分の顔を水面から出して浮かんでいるようにしてください。
人1人助ける、というのは、男の私でも大変なことですから」
私は目の覚める思いだった。
カヌー10回目にして初めて聞く、危機管理意識を持ったガイドさんの言葉だっだから。
いままでのガイドさんたちは、とりあえずライフジャケットをはおらせ、カヌーに乗せて、どのように漕ぐかのレクチャーはしてくれたが、
水に落ちたときの心構えのレクチャーは、一度もなかった。
ライフジャケットがきちんと体にフィットしていないと、たいへんレスキューしにくい状態となるだけでなく、
体にしっかり固定していなければジャケットはそれ自体の浮力で体から逃げてしまい、人間のほうは当然浮いていることができなくなる。
水に放り出された経験のない人間の動顛は大きく、しばしばパニックになる。このところの東京電力の<想定外>状態である。
そして無駄な時間がどんどん過ぎていき、溺れなくても、冷たい水温での低体温症のリスクが高まる。
この知識があるかないかで運命を分かつ。たいへん重要なことである。
そしてこれは十分に<想定>できることである。
岸から2mで水深が数十メートル以上、という然別湖の特殊性ゆえのレクチャーとはいえ、
カヌーは吃水線が浅く波や風で横転しやすい不安定な乗り物だ。
漕ぐ以前に、沈んだときにどうするかというレクチャーが第一義だと感じる。
すべてのカヌーにかかわるガイドさんたちは
<ゲストは沈むかもしれない>という危機管理意識を、今一度新たに持ってほしいと思った。
そういう意味でも、今回のガイドさんと出会えたことはたいへん貴重であった。
然別湖は複雑な形状をしていて、風が強く波立っていても、たくさんある入り江に入るとまったくの無風状態となり素人でも安心して漕ぎ回れる。
私たちも風と波を乗り切って小さな湾を目指す。
風が強く波立っていると、おつまちゃんはカヌーとの一体感を感じることや後ろで舵をとっている私とのバランスを考えるゆとりはなく、漕ぐのに必死となる。
つまりこれは… これ以上ハードな波風になると、おつまちゃんはますます漕ぎまくるから、
後ろで舵をとる私の負担が大きい… ということになり…
それは避けよう!
然別の春は浅く、桜はまだとうぶん先のようである。
ここ数日一段と冷えて、
本日は10℃を切る気温、7 ~8℃ではなかろうか。
柳の新芽がたくさん出ていたが、しばらくは暖房が必要な日が続くらしい。
時折、鳥の気配がある。
ふと思いついてガイドさんに
「夜鳴く鳥で、金属的に ヒョー ヒョー ヒョー というような、キーン キーン というような感じにも聞こえる鳴き声の鳥がいますよね、なんという鳥ですか?」と聞いてみた。
「トラツグミじゃないかな? 夜、寂しげにずっと鳴く鳥ですよね。鵺(ぬえ)とも呼ばれます」
(ほら出た出た~~~ やっぱり鵺だよ、鵺!鵺!! )
あとでスマホでネット検索してみよう!
まだ茶色の木々の間に、明るい紫色の可憐な花が咲いていた。
桜が咲く前に、この花が咲くのだそうな。 えーっと… 名前は忘れた~
エゾなんとか?? やーね、年寄りは…
静かな湖面でコーヒーをいただき
「風があるところを通るのは嫌ですよね?」というガイドさんの質問に
おつまが返事をする間も与えず猛スピードで
「はい! もちろんです!」と答えて、
「それではゆっくり入り江を回って帰りましょう」
この後やや吹きさらしの風を受けながら、つつがなく戻った。
言ってみればまあ、ほんのちょっと然別湖にご挨拶した、というようなカヌーツアーだった。
まだまだ奥が深い然別湖であった。
そのうち、鳴きウサギを見に来てもいいな~ 雪が降る前に。
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