2015年

3月21日 峰









お彼岸の日に、まちこと峰に行った。
体だけでなく心の病気になってしまった私は、1人ではとても行けず、まちこを誘ったら「ずっと待っていたのよ、行こう行こう。私が言うとせっついているようになるから」言えなかったという。

新幹線のチケットを緑の窓口で買うところから、私にとっては冒険だった。
私の病気を知っているまちこが一緒に行くのは安心感があったが、
もし万が一のことを考えると、動悸がするのだった。

峰は相変わらずの峰だった。
その静けさも、清潔感も、時が止まったような時間の流れも。

大きな変化といえば、大女将さん、おばあちゃんが亡くなられたことで、それを聞いた時にはぽっかり穴が開いたように思ったけれど、聞かなかったら何一つ変わらず、そこに佇んでいたことだろう。
良い水と空気と、良い温泉でお肌は少女のようなおばあちゃんは、101歳でお亡くなりになった。
私とまちこはお線香をあげさせていただき、峰の時間を過ごした。

時々胸苦しくなる私の体に、多分薬は効いているだろうが、心からまちこのようには楽しむことはできない。
しかし叫ぶようなこともなく、時間は流れて、帰る時となった。

お湯の力でも、心の憂いは流すことができないが、それでもお湯に浸ることの嬉しさはあった。
急激に痩せたので体はしわだらけとなり、そんな私を見ないようにまちこは気を遣う。

あの元気な私はどこへ行ってしまったのだろう?
病気は治るのだろうか?
お湯に浸かりながら心細く寂しく思う。
でも、ここにいる。ここに来られた。
いつになったら良くなって、北海道に1人でいけるのだろうか?
胸苦しさがまた頭をもたげてくる。

いつになったら……
いつになったら……

いまはまだだめだ……
心の中に重いものが横たわっている。
眼をつぶり、かんがえないようにする。

そして帰ってきた。
まちこの「また行こうね、行けるよ!」という別れの言葉を聞きながら。
行って、そして帰ってきた。それができたことは嬉しかったが、次はいつできるだろうか……

そんな、峰への、旅だった。

            













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